東京には数えきれないほどのバーがありますが、Tokyo Confidential(トーキョー コンフィデンシャル)ほど“混沌と洗練”が共存する一軒は、そう多くありません。2023年のオープン以来、この受賞歴を誇るバーは国内外で熱狂的なファンを獲得し、「Asia’s 50 Best Bars」や「Time Out」誌のベストバーリストにも名を連ねています。その成功の裏にあるのが、ディレクターのいいだ あずさ氏としらこ ゆい氏によって設立された、東京拠点の先進的なホスピタリティグループ EatMe Group です。
東京では、EatMe Groupは代官山、麻布十番、中目黒といったエリアで飲食店を展開し、活気があり魅力的なロケーションを見極める卓越したセンスを発揮してきました。そうした彼らのホスピタリティのスタイルは、「ニセコこそ最適ではないか」と考えた友人や常連客たちの後押しもあり、2024年にNiseko Confidential(ニセコ コンフィデンシャル)をオープンするに至ります。 「ニセコは、世界水準のホスピタリティと、日本屈指のウィンターリゾートならではのエネルギーが融合する、EatMeのビジョンを体現するための理想的な舞台です」としらこ氏は語ります。
この冬、Niseko Confidential(ニセコ コンフィデンシャル)は2度目の冬季シーズンを迎え、さらに新たな2つのコンセプト、Tepache(テパチェ)と AóRA(オーラ)が加わりました。EatMe Groupは、まさにニセコのダイニングシーンを席巻しています。今回は創業者たちに、それぞれのレストランの魅力や、ぜひ味わってほしいおすすめメニューについて伺います。
ホスピタリティ業界は参入も成功も難しい分野として知られていますが、なぜEatMe Groupを立ち上げようと思われたのですか?
日本は、世界でも屈指の競争の激しさを誇る飲食業界を持つ国として知られています。味、サービス、そして標準基準の高さにおいて、そのハードルは非常に高いものがあります。それにもかかわらず、日本発のホスピタリティ分野で、国際的に大きな影響力を持つ存在は、実はそれほど多くありません。その理由の一部には言語の壁といった課題もあると思いますが、私たちはそれを「まだ誰も十分に掴みきれていないチャンス」でもあると感じてきました。
まさに、そこにEatMe Groupの存在意義があります。個人経営の小さなレストランを運営することも素晴らしいですが、同じ志を持つ仲間たちが集い、チームとして取り組むことで、私たちはもっと大きな目標を見据えることができます。私たちの目標はシンプルです。東京発の、世界に誇れるインターナショナルなホスピタリティブランドを築くことです。
Tokyo Confidential(トーキョー コンフィデンシャル)は、わずか2年で大きな成功を収めていますが、その“秘訣”は何だとお考えですか?
私たちは、「日本の従来のやり方」に縛られなかったことが最大のポイントだったと考えています。立ち上げ当初から、日本市場を主なターゲットにはしていませんでした。その代わりに、チーム編成やデザインコンセプトに至るまで徹底的にこだわり、真にワールドクラスと呼べるカクテルバーをつくることに注力してきました。
また、マスマーケティングは一切行わず、立ち上げ当初からあえてニッチな層に向けた展開を選びました。その結果、明確な差別化が生まれ、口コミや東京に根付くインターナショナルコミュニティを通じて、自発的なな成長へとつながっていったのです。
「The World’s 50 Best Bars」は、Tokyo Confidentialを“非常に洗練されたホームパーティー”と表現していますが、姉妹店であるNiseko Confidentialはどのような存在でしょうか? また、2シーズン目にはどのような展開が期待できますか?
Niseko Confidentialは、東京店で高く評価されてきたエネルギッシュで洗練された雰囲気を受け継ぎながら、より親密で、アルプスを思わせるエッセンスを加えています。上質なカクテル、厳選されたフードメニュー、そして居心地の良い空間が揃う、まさに理想的なアプレスキー・スポットです。 ドリンクが主役のTokyo Confidentialに対し、Niseko Confidentialは本格的なフードプログラムを展開している点が大きな特徴で、カクテルとの相性を考え抜いた料理によって、体験そのものをさらに高めています。
2シーズン目を迎えたNiseko Confidentialは、季節限定の新作カクテルやフードメニューの進化、さらにスキーショットやサプライズイベントなど、より一層充実したアプレスキー体験をお届けします。温かみと洗練、そしてニセコの冬ならではのエネルギーが融合した空間で、忘れられないひとときを演出することを大切にしています。
ニセコでの成功を受け、EatMe GroupはTepacheとAóRAという新たな展開をされていますが、それぞれのコンセプトについて教えてください。
Tepacheは、活気あふれるメキシカンスタイルのダイニング体験をニセコの中心に届けます。クラシックなカンティーナ料理を、洗練されたアプローチで再構築するのが特徴です。メスカルやテキーラをはじめとするアガベスピリッツを厳選して取り揃え、伝統的なメキシカンドリンクにモダンなひねりを加えたクリエイティブなカクテルも提供します。看板メニューのひとつとなるのが、店名にもなっているテパチェ。さらに、発酵をテーマにした革新的なカクテルの数々が、体験に奥行きを加えます。
AóRAは、チャトリウム内、旧「KAMIMURA」のスペースに誕生した、洗練されたモダンなダイニングです。北海道が誇る上質な食材にフォーカスし、イタリアン、フレンチ、そして北米太平洋岸北西部沿岸のエッセンスを融合させた料理を提供します。また、道内の著名ワイナリーをはじめ、国内外から厳選した幅広いワインリストも大きな魅力のひとつです。カクテルメニューも同様に創造性あふれる内容で、季節の素材や地元のスピリッツ、フレッシュハーブを用いた、ここでしか味わえない一杯をお楽しみいただけます。
影響力のあるシェフ、ダニエル・カルバート氏とも協業されていますが、その中で「その土地ならではの味わい」をどのように形づくっているのでしょうか?
ダニエル・カルバート氏とは、ミシュランスタークオリティの料理を提供するケータリングサービス Maison Premièreを立ち上げ、共同で運営しています。ダニエル氏自身は、ニセコで展開している3つのコンセプトに直接関わっているわけではありませんが、その存在と哲学は常に私たちの大きなインスピレーションとなり、枠にとらわれない発想や、ゲストの記憶に残る一皿を生み出す原動力となっています。 特にSézanneでの成功を収めている彼がチームの一員であることは、私たちの取り組みをさらに高い次元へと引き上げ、常に卓越性を追求し続ける姿勢を支えてくれています。
ニセコの各店舗で、ぜひ味わってほしいおすすめメニューを教えてください。
Niseko Confidentialのカライマルガリータは、甘さとスパイスの絶妙なバランスが魅力の一杯です。マンゴーの自然な甘みと、ハバネロの刺激的な辛さが見事に調和し、ひと口飲めば忘れられないマルガリータに仕上がっています。
Tepacheの和牛カルネ アサダ プレートは、きめ細かなサシが美しい柔らかな和牛に、爽やかなパクチーのチミチュリソースを合わせた一皿。スモーキーでコク深い味わいが広がり、一口一口をじっくりと堪能したくなる逸品です。
AóRAでは、北海道の海で獲れた新鮮なシーフードを提供しています。水揚げされたばかりの素材ならではの鮮度が生き、一口ごとに海の恵みそのものとも言える、豊かな旨みが広がります。
最後に、ゲレンデで一日過ごしたあと、いちばん恋しくなるものは何ですか?
雪の中で一日を過ごしたあとは、友人たちとシャンパンや美味しいカクテルを片手に、ゆったりとくつろぐ時間に勝るものはありません。そこに、ジューシーなステーキと体に染みわたるスープを合わせれば、まさに完璧な組み合わせです。さらに、温泉に入れる環境があれば、その心地よさは格別。シンプルですが、一日の締めくくりとしてこれ以上ない、理想的な過ごし方です。
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Kissa Castañeda
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